Daily Archives: 2016年1月28日

お元気なうちに相談してほしい,相続の相談②

今回は,私が「是非ともお元気なうちに弁護士に相談してほしい」と強く思うケースの2つ目をご紹介いたします。

2つ目は法定相続人がいないケースです。

稀に相続に関する法律相談で,実は相談者が相続人にはあたらず,他にも法律上相続人にあたる方がいないことがあります。

例えば,いとこであったり,義理のきょうだい(兄弟姉妹の配偶者)が亡くなられたというような場合です。相談者にとっては身近な親戚という意識で,親戚だから当然相続人になるのだと思っていらっしゃったことが多く,相続人にはならないことを告げると大変に驚かれます。

自分が相続人ではないと分かると,次に「では誰が相続人になるのか」という疑問が当然に出てくることになります。これに答えるためには被相続人の戸籍関係を調査するなどしなければなりません。

戸籍を調査しても相続人にあたる方がいないとなると,相続人不存在となります。本来相続権の無い者まで相続人の範囲が拡げられるということはありません。相続人不存在の場合,相続財産は家庭裁判所が選任する管理人の管理下となり,債務の弁済などを行った後で最終的には国庫に帰属することになります。かなり長期間に渡る法的手続が必要となりますし,財産は結局国のものになります。

相続人ではなくとも,被相続人と一緒に暮らしていた方や,老後のお世話をされていた方は,家庭裁判所に特別の縁故のある者として認められれば,相続財産の分与を得ることができます。しかし特別縁故者への分与が認められるのは,相続財産の一部分であることが多いです。

相続人不存在の事件では,多額の相続財産が国へと流れていく事例が多く,率直にもったいないように感じます。

また誰も特別縁故者として認められないケースであれば,損得勘定で考えると誰も相続人不存在の事件に関わるメリットがないことになりますので,被相続人の相続財産が放置されがちとなる問題もあるでしょう。

被相続人に相続人がいない場合でも,遺言をのこしておけば,遺言書の内容に沿って財産を処分すべきこととなります。相続人がいない方には,「相続人不存在」の状態となることを避けるべく,今すぐにでも遺言を活用して頂きたいところです。