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お元気なうちに相談してほしい,相続の相談②

今回は,私が「是非ともお元気なうちに弁護士に相談してほしい」と強く思うケースの2つ目をご紹介いたします。

2つ目は法定相続人がいないケースです。

稀に相続に関する法律相談で,実は相談者が相続人にはあたらず,他にも法律上相続人にあたる方がいないことがあります。

例えば,いとこであったり,義理のきょうだい(兄弟姉妹の配偶者)が亡くなられたというような場合です。相談者にとっては身近な親戚という意識で,親戚だから当然相続人になるのだと思っていらっしゃったことが多く,相続人にはならないことを告げると大変に驚かれます。

自分が相続人ではないと分かると,次に「では誰が相続人になるのか」という疑問が当然に出てくることになります。これに答えるためには被相続人の戸籍関係を調査するなどしなければなりません。

戸籍を調査しても相続人にあたる方がいないとなると,相続人不存在となります。本来相続権の無い者まで相続人の範囲が拡げられるということはありません。相続人不存在の場合,相続財産は家庭裁判所が選任する管理人の管理下となり,債務の弁済などを行った後で最終的には国庫に帰属することになります。かなり長期間に渡る法的手続が必要となりますし,財産は結局国のものになります。

相続人ではなくとも,被相続人と一緒に暮らしていた方や,老後のお世話をされていた方は,家庭裁判所に特別の縁故のある者として認められれば,相続財産の分与を得ることができます。しかし特別縁故者への分与が認められるのは,相続財産の一部分であることが多いです。

相続人不存在の事件では,多額の相続財産が国へと流れていく事例が多く,率直にもったいないように感じます。

また誰も特別縁故者として認められないケースであれば,損得勘定で考えると誰も相続人不存在の事件に関わるメリットがないことになりますので,被相続人の相続財産が放置されがちとなる問題もあるでしょう。

被相続人に相続人がいない場合でも,遺言をのこしておけば,遺言書の内容に沿って財産を処分すべきこととなります。相続人がいない方には,「相続人不存在」の状態となることを避けるべく,今すぐにでも遺言を活用して頂きたいところです。

 

お元気なうちに相談してほしい,相続の相談①

当事務所では,相続に関する御相談もこれまで多数取り扱って参りました。

多くの場合,相談者の方は亡くなられた方の御遺族や御親戚の方であり,亡くなられるまでは相続の問題について考えておられず,実際に相続が始まってから相談に来られています。(法律では亡くなられた方のことを「被相続人」といい,法律上相続する権利を有する方のことを「相続人」といいます。)

たしかに相続は亡くなられた後の話です。被相続人はお元気なうちは,なかなか相続について現実味をもって考えませんし,生前から相続人が財産の分け方についてあれこれ話をするのは気が引けるものです。

しかし弁護士の立場からすると,生前にもう一歩踏み出して,御相談に来られるなり,対応を検討して頂ければ,より円満で妥当な結果を導くことが出来たのにと思うケースも度々あります。

私が「是非ともお元気なうちに弁護士に相談してほしい」と強く思うケースの1つは『法定相続分通りの相続をすべきでない』ケースです。

「すべきでない」というのは,あくまで私の主観的な評価ですが,個々の事情によっては法定相続分通りの遺産分割が適さないケースがあります。例えば様々な事情から何十年も連絡さえ取っていない子Aと,人生の大半を同居して過ごし老後も心身を支えてくれた子Bがいる場合に,法律上は同じ「子」にあたるわけですが,遺産分割において両者を等しく扱うべきでしょうか。一般的には子Bがより多くを相続するべきと考えるのが人情であるように思います。

このような事例では,被相続人(親)も子Bを優遇したいと思っていることが多いのですが, その「思い」だけでは相続の結果に反映させることができません。法律上は,遺産分割の際に被相続人の財産への貢献度を考慮する「寄与分」という考え方もあるにはあるのですが,いざ紛争が生じた場合に,期待した通りの寄与分を裁判所に認めてもらうことはなかなかできません。

やはり被相続人が生前に遺言を書くなり,生前贈与をするなりしておく必要があります。

また相続財産の中に不動産がある場合は,将来処分する可能性などを考えると,法定相続分通りに相続人間での共有とするよりも,相続人の一人の単独所有とする方が望ましいでしょう。

相続に関する紛争が生じてしますと,当事者の方々は精神的にとても疲弊することになりますし,誰もが納得した解決をすることも難しいです。自分自身や親の相続が発生した場合に,法定相続分通りに相続することで,果たして相続人間で問題が生じないだろうかという点について,是非とも一度考えて頂きたいと思います。

そして不安があるのであれば,最終的な決断ができなくとも一応の遺言書を作成しておくべきでしょう。

遺言は何度でも作り直すことが出来ますので,考えが変われば,また新しい遺言書を作成すればよいのです。

初めて相談に来られる方へ

当事務所では,紹介などは無くても,ご予約をして頂ければ相談を承っております。

お気軽にご相談いただければと存じます。

 

相談に来られる際には,事件に関係すると思われる資料は,できるだけ全てお持ちください。

法律相談では,皆様からの相談事をお聞きして,紛争の解決方法や,訴訟となった場合の見込みなどをお答えできるように努めますが,そのためには紛争に関連する情報がより多くあった方が良いからです。

たとえば,相談時には相手方会社との契約とお聞きしていたものが,後々で契約書類を確認すると相手方会社の代表者個人との契約であったということや,相続関係を整理していると相談者の方も知らない相続人が存在したということが,稀にあります。契約関係の相談事であれば,その契約書はもちろん,相手方との間でやり取りをした書類なども,親族,相続関係の相談事であれば戸籍謄本等をお持ちいただけると,より確かな回答をすることができます。

また登場する人物が多い場合であれば登場人物の一覧や相関図をあらかじめ作成頂いたり,相談事に関連する出来事を事前に時系列でまとめていただけると,法律相談の時間をより効率的に進めることができます。

相談に来られる方には,せっかく相談費用をお支払い頂くわけですから,できるだけ短時間で内容のある相談でありたいと思っています。ご協力いただければ幸いです。

 

なお相談させて頂いた結果,ご相談者様の主張が法律上認められない場合,主張には理由があるが証拠がないため訴訟等をしても勝つ見込みがない場合,訴訟等で勝つ見込みもあるが請求額が少額であるとか回収できる可能性が全く無い場合には,受任をお断りさせていただくことが有ります。

これは,紛争の解決に弁護士が介入するからには,弁護士に依頼することが依頼者にとって利益をもたらすものでなければならないと考えているためです。